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第3章(再投稿)
携帯でいじったら前記事の文章が後半切れました(笑)
ので一応再投稿します…内容は前回と全く同じです。f^_^;

という訳で微妙企画になりつつありますが…もう少し続けてみましょう(笑)

ただ、五章の半ばまでしかないので連載の終りは近いですf^_^;

次回の更新はコメントが五人以上付くか、パソコンが直ってからという形にしますねf^_^;

携帯から更新なんで続きからに放り込めないので本文は↓からです~

第3章  茜

 今朝(といっても眠りに落ちたのが遅かった玄はお昼に近くなってから目を覚ましたのだが)VSを覗くと,関羽は黙々と身体を動かし即席の武器を振っていた。
 疲労という概念は無いらしくいつまででもやっていそうな勢いである。
 玄はそれを見て感心すると同時に全体のステータスを確認する。
 昨日と同じ大きな黒板の様な物が現れ,様々な数字を並べている。
 その左上,八八と二。
 あれからユーザー登録が一件あり,五人がまた新たに負けたということだろう。
 玄は一つ溜息をつくと,一階に下りた。
 休みの日の朝食だけは抜いてもいいことになっている。安心して寝坊できるようにという配慮だろう。
 一階のテーブルでは玄の父親の信が銜え煙草で新聞を広げている。
 火は着いていない。母の恵に禁止されているからだ。
 玄の両親は共に公務員なので土曜,日曜は休みで家にいることが多い。
「おう,起きたか。昨日は随分遅くまでやってたな。ずっと音が聞こえてたぞ」
 紙面から視線を玄に移して信が微笑む。
「まあ…ね。最新機種を買ったからさ」
「でも,あんまり遅い時間までやるのは感心しないわよ玄。あんな音出してたら近所迷惑よ」
 恵が台所から皿に盛った野菜炒め(昨日の夕食の残り物だ)を運んできて言った。
「わかってる。今度はもう少し音を絞るからさ。昨日はちょっと気が回らなくて。あっ,俺が運ぶよ」
 恵から皿を受け取りテーブルに向かう。
「ありがと玄。そうね,そうして頂戴」
「玄,バイトはどうしたんだ?」
「うん,取り敢えず目標額は働いたし学校にばれるとやばいから一昨日やめた。残りの給料は再来週に入る予定」
 手に持った皿をテーブルに置くと信の手から新聞を取り上げてたたむ。
 恨めしげな視線を向けられるがどうせ食事が始まれば母が取り上げてしまうのだから早いか遅いかの違いだ。
 たたんだ新聞をリビングのソファに放り投げようとした時,新聞の見出しが目に入る。『VS購入に長蛇の列!徹夜組二千人』
(おじさんのお陰でVSを手に入れられた俺は運が良かったと思うけど…関羽…あんな風に人の魂を束縛できる物が本当にあっていいのかな…)
「玄。準備出来たわよ」
 玄の思考は恵の声によって中断された。
「今行く」
 玄は新聞を放り投げ,食卓に向かいながら『芸夢』に行って話を聞いてもらう事を改めて決意した。

 食事を終え,両親とたわいもない会話をした後,玄はVSを肩掛け鞄の中に入れ自転車に乗って駅に向かい,いつものところに自転車を止めると『芸夢』の入り口をくぐった。
「おや?いらっしゃい玄くん」
 どうやら店内にお客はいないらしくカウンターに座ってゲーム情報誌を眺めていた店主が玄を見て顔を綻ばせる。
「昨日VS買ったばっかりなのにまた顔出すなんてどういった風の吹き回しだい?」
「はは…ちょっとね」
 自分でも未だに夢でも見てるんじゃ無いかという気分が拭い切れない。店主に話しても馬鹿にされるのがオチのような気がする。
「…なんてね。多分来ると思ってたよ。本当は昨日来てもおかしくは無いと思ってたんだけど……」
「おじさん!ああいうゲームだって知ってたの!」
 玄は店主の言葉に目を見開いてカウンターに詰め寄る。
「少しはね。それの仕入先が知人でね,顔見知りにでも売るか何だったら自分でやってみてくれって言われて仕入れたんだ。その時に少し内容については聞いた」
「そう……なんだ…」
 玄は呟くと店主の前にVSを置いた。
 そこでは相変わらず関羽が鍛錬を続けている。
 玄はぽつりぽつりと昨日家に帰ってからの事を店主に話した。

「…こんな事ってあるのかな」
 玄の話を聞いてVSの画面を見て驚いていた店主は静かに首を振る。
「それは私にも分からないことだよ…これだってそう見えるだけで本当は良くできたプログラムかもしれない」
「おじさん!違う!違うんだよ……本物なんだ……本当に一人の人間としての心がここにあるんだよ!」
 玄には単なるゲームとして割り切って遊ぶという選択肢もあった。
 しかし,一人の人間として関羽と出会ってしまった以上はもはやゲームのキャラクターとして関羽を扱う事は出来ない。
「玄くん…」
「おじさん…昔,なんかで読んだんだけどさ。魂って長くても四百年位で転生するんだって。そう考えたらさ,三国志の武将なんて千八百年以上も前の魂だよね。あり得ないよね…」
 玄がそう言って画面の中の関羽を眺める。「玄くん,私はね転生自体は否定しないけど四百年なんて時間は関係ないんだと思う。私はね…皆に忘れられてしまった時が転生の時期なんじゃないかと思ってるよ」
「……忘れられた時?」
「そう,そりゃ私は死んだことないから分からないけど。私はね,形の無いものっていうのは結局の所は人の心が作るものだと思うんだ。愛とか友情とか信頼とか…幽霊や魂も」
「おじさん…」
「今を生きる人達が死んだ人達を覚えていればその人の魂はなくならない。本当の意味で死んだんじゃないんだ。
 …とは思えないかな。全ての人に忘れられた可哀想な魂はまた新たに生を受けてやり直すことが出来る…私はそう思ってるよ」
 店主は優しく微笑みながら静かに言う。
「魂のままでいることが生きているよりもいいってこと?」
「…わからないけど生きてる間に出来る楽しいことや気持ちいいことが死んでからは出来ないって誰が確認したの?」
 店主に問われ玄は返答につまった。
「そうしたら,生きる事で縛られてきたもののない分,重力とか,空気とか,欲とか,仕事とかそういうのの分だけいいかも知れないよ。まぁ個人的には悪い意味で記憶に残る人は忘れられるまで罰を受け続けるようなシステムであって欲しいけどね」
「じゃあ…魂のままで転生出来ないのは嘆く事じゃないってこと?俺達が覚えていてあげるから関羽は関羽でいられるのかな?」
 すがるような目で店主を見る玄に店主は優しく微笑む。
「そうだったらいいね。むしろ問題はせっかくの縛られるものの無いはずの魂達がどういった理由か半デジタル化されて束縛されている事なんだろうね。玄くんに当てはめれば勝手に身体の一部をサイボーグ化されたみたいなものだからね」
 玄は自分の内部を機械と取り替えられた様子を想像して眉をひそめた。
 映画などで架空の物語としてならかっこいいかもと思わないでもないが実際に自分の身体でとなったらかなりいただけない。
「そうだね………どうすれば元に戻るのかな。ソフトを壊せば戻るかな?」
 店主は玄の問に少し考えてから口を開く。
「無理……だろうね。仮にその場は解放されたとしても霊を捕らえる方法がある限り同じ事の繰り返される可能性は常に残るわけだからね。玄くんは武将の霊達を元に戻してあげたいのかい?」
 玄は頷く。
「そりゃあ……憧れの英雄達が身近にいるっていうのは嬉しいけど…それはやっぱりゲームとしてでいいんだ」
「本物はいらない?」
「っていうかそんなこと本来なら出来るわけないし,やっちゃいけないんだと思う」
 そう言って端末を手に取った玄は目をふせる。
「俺さ,昨日考えたんだ。本当に死んじゃった人をこうして形に出来る方法があるとしたらどんなことが出来るのかなって…そしたらきっと凄いと思った。死んじゃった親しい人に会いたい人なんていくらでもいるだろうし,過去の偉人から当時の状況や歴史を確認したり,事故や犯罪の被害者から犯人を聞いたりも出来るし……でも,でもさ…なんか不自然だよ。死んでからもこの世にとどまれるなんて…死ぬことに恐怖がなくなったら人間なんてみんな死んじゃうんじゃないかな…」
 店主は玄がそこまで真剣に生死について考え,悩み,死の本質を理解しつつあるのを頼もしく思った。
 子を為す行為に快楽が伴わなければいずれ子供は産まれなくなり人は絶滅してしまうだろう。
 そして死に苦痛が伴わなければ安易に死を選ぶものが増え,やはり人は滅んでしまうに違いない。
 人以外の生物はそんなことはない。なぜなら種の保存という事に対して人間よりも遙かに強い本能を持っている。
 何の理由もなく同族を殺すのは人だけなのだ。
「玄くん…優勝してみたらどうだろう」
「えっ?……」
「武将達も心ないプレイヤーに無理矢理使われるよりは玄くんに使われた方がましだろうし,優勝すればおそらくメーカーから何らかの接触がある。そのときまでにいろいろ調べる事も出来るだろうし,そのときに交渉することだってできるかもしれない」
「おじさん…」
 玄を見る店主の目は真剣でとても冷やかしで言っているとは思えない。
「関羽さんをご兄弟と再会させてあげたいんだろう?」
「それは…そうだけど。関羽を戦わせて…俺が優勝……?」
「玄くんが関羽さんを使うんじゃない。関羽さんに玄くんが協力してあげるんだ」
「俺が…助ける?…あの関羽を?」
 玄には思っても見ない考え方だったのか店主の言葉に衝撃を受けたように目を見開く。
「確かに本当の戦国時代だったら玄くんの出番なんかないけど,これはゲームでもある。ゲームだったら玄くんにも助けてあげられる事があるんじゃないのかい?」
 店主の言葉を頭で反芻する。
 玄は自他共に認めるゲーム好きのゲーム巧者だ。ゲームに関しては自信もプライドもある。
 関羽が本物でなければ心からこのゲームを楽しんでいたはずであり,それなりの結果を出せたはずである。
 関羽はもう一度契りを交わした兄弟達に会いたいと思っているし,今の状況に当然納得などしていない。
 玄は関羽達を何とかしてやりたいとおもっているし,ゲームも楽しみたい。
 そして優勝すればその糸口になる可能性はある。少なくとも自分なら武将達を単にキャラとして扱い,支配することはしない。
 確かに利害は一致する…
 店主はそれでも決断出来ないでいる玄を優柔不断だとか情けないとは思わない。
 他人を思いやれず,他人の痛みを想像できない人間より何百倍も好ましい。
「本格的にゲームに入るのは今晩からなんだろ?まだ半日ある。ゆっくりとまではいかないが考えてみたらどうだい?」
 玄は手の中の端末を眺めたまま頷いて店主に礼を言い,店を後にした。
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[ 2008/02/18 12:57 ]

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